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  • 中野越南(1883-1980)コレクション

    越南に指導を受けた安達嶽南氏や古谷蒼韻氏、ご遺族の方々、また、越南が書家として知られるきっかけを作った株式会社龍村美術織物様などから寄贈を受け、128件の作品や資料を収蔵しています。内容は、仮名が43件、漢字が76件、漢字仮名交じりや画賛、合作などが6件、看板や葉書、筆が1件ずつです。
    若い時期の古筆調の仮名から、晩年期の禅林墨跡風の作まで、多様な書が揃います。作品のほかに、越南宛の書簡などからは田中親美や原三渓、阪正臣、山本行範などとの交流が垣間見え、越南の全貌に迫ることのできるコレクションです。

     

    中野越南筆(1883-1980)法隆寺宝狩猟錦文解説、彩箋墨書、一葉、26.5×34.7、大正13年、龍村美術織物寄贈

     

    中野越南筆(1883-1980)古今集秋うた上(部分)、彩箋墨書、一巻、27.6×546.0、昭和9年、古谷蒼韻氏寄贈

     

     

    中野越南筆(1883-1980)飲中八仙歌(部分)、紙本墨書、一巻、33.6×957.8、昭和26年、中野康郎氏寄贈

     

    中野越南筆(1883-1980)賀知章詩、紙本墨書、二曲半双、137.9×128.4、中野康郎氏寄贈

     

    中野越南筆(1883-1980)書心画、紙本墨書、一幅、61.2×127.0、中野康郎氏寄贈

     

  • 松本芳翠(1893-1971)コレクション

    ご遺族をはじめ、各所からご寄贈を受け、43件の作品を収蔵しています。

    薬剤師を志して上京した芳翠ですが、日下部鳴鶴や近藤雪竹の影響を受けて書を志しました。東方書道会や書海社などを結成して新たな書壇の潮流を牽引、戦後も日展をはじめ現代書道二十人展でも活躍しました。自ら賦した漢詩を書くなど文人的素養をベースに各体をよくし、切れ味の良い澄んだ線質で規範性のある端正な書を多く遺しています。当館の収蔵作品は、日本芸術院賞に輝いた「談玄観妙」をはじめとした展覧会出品作が多く含まれ、芳翠の書業を俯瞰することが出来ます。

     

    松本芳翠筆(1893-1971)談玄観妙、紙本墨書、一面、各169.9×41.6、昭和35年日本芸術院賞、谷村雋堂氏寄贈

     

    松本芳翠筆(1893-1971)五輪十絶之一「魔女」、紙本墨書、一面、56.8×140.3、昭和39年、谷村雋堂氏寄贈

     

     

    松本芳翠筆(1893-1971)断雲、紙本墨書、一面、59.1×140.5、昭和32年日展、谷村雋堂氏寄贈

     

    松本芳翠筆(1893-1971)拈華微笑、紙本墨書、一面、69.7×137.8、昭和37年、谷村二葉氏寄贈
  • 浅見喜舟(1898-1984)コレクション

    ご遺族からご寄贈を受け、142件の作品や資料、自用印32件を収蔵しています。

    群馬に生まれた浅見喜舟は木俣曲水、田代秋鶴らの薫陶を受け、文検合格後は新潟県高田中学校を経て千葉師範学校、千葉大学で教鞭を執りました。昭和13年に書星会を創立し、書壇で活動する傍ら書写書道教育に力を注ぎ、全国大学書道学会会長も務めました。地域に根差した活動で戦後の千葉書壇を牽引、その基盤は今も色濃く遺っています。行草を得意としましたが、文人画風の作品や日本画も手がけ、趣味人としても多彩な活動を繰り広げました。当館の収蔵作品は晩年に至るまでの書作品をはじめ、絵画も収蔵されており、喜舟の実像が感じられるコレクションです。

     

    浅見喜舟筆(1898-1984)蝙蝠も、紙本墨画墨書、一幅、134.2×15.4、浅見錦龍氏寄贈

     

    浅見喜舟筆(1898-1984)崔子玉座右銘、紙本墨書、一幅、57.1×39.0、浅見錦龍氏寄贈

     

     

    浅見喜舟筆(1898-1984)蘭亭叙、紙本墨書、一幅、67.5×66.5、浅見錦龍氏寄贈

     

    浅見喜舟筆(1898-1984)帰家穏座、金箔紙墨書、一幅、222.8×47.8、昭和56年、浅見錦龍氏寄贈
  • 小坂奇石(1901-1991)コレクション

    小坂奇石は戦後書壇を代表する一人です。王羲之や顔真卿、米芾、王鐸などの古典を渉猟したその先に、墨跡の持つ気韻を昇華させました。40件のコレクションには、漢籍の素養をもとにした自詠の作品が多いことも特徴です。現代書道二十人展、日展などの出品作が中心です。ご遺族と璞社二代目会長の江口大象氏から寄贈を受けました。

     

    小坂奇石筆(1901-1991)游芸、紙本墨書、一面、42.0×69.5、江口大象氏寄贈

     

    小坂奇石筆(1901-1991)従容録一節、紙本墨書、二曲半双、103.5×119.5、昭和50年璞社書展、小坂 淳子氏寄贈

     

    小坂奇石筆(1901-1991)晩秋書懐、紙本墨書、一幅、118.3×32.9、平成3年璞社書展、小坂淳子氏寄贈
  • 松井如流(1900-1988)コレクション

    ご遺族ならびに鈴木響泉氏を始めとした皆様からのご寄贈を受け、98件の作品を収蔵しています。また、肉筆原稿などの資料からは、研究者、歌人としての如流の姿が垣間見えます。

    吉田苞竹のふくよかで勁い線に憧れ、上京して師事、『碑帖大観』や『書壇』の編集を手助けしながら研鑽を積み、戦前から書壇で活躍しました。戦後は豊富な知識を生かして『書跡名品叢刊』『書品』などを手がけました。その研究の根底となった如流自身の拓本コレクションも当館にまとめて収蔵されており、如流の書を考える上でも貴重な資料です。当館の収蔵作品は日展や毎日書道展、現代書道二十人展をはじめ、主要な展覧会の出品作が多数含まれており、行草から隷書、少字数へと推移した如流の書業を回顧できる内容となっています。

     

    松井如流筆(1900-1988)心事数莖白髪 生涯一片青山、紙本墨書、六曲半双、各129.7×59.2、昭和36年東方書道院展、松井洋子・鈴木響泉氏寄贈

     

    松井如流筆(1900-1988)金石声、紙本墨書、二曲半双、各140.4×69.3、昭和39年日展、松井洋子氏寄贈

     

    松井如流筆(1900-1988)脩省、紙本墨書、二曲半双、各133.2×69.7、昭和47年現代書道二十人展、松井洋子氏寄贈

     

    松井如流筆(1900-1988)自詠歌「どんぐりの実」、紙本墨書、一面、52.0×74.0、昭和57年松井如流新春書展、松井洋子・鈴木響泉氏寄贈

     

  • 高澤南総(1911-1992)コレクション

    ご遺族の高澤雅枝様からご寄贈を受け、自用印や筆を含めた159件の資料を収蔵しています。

    高澤南総は、千葉師範学校で浅見喜舟に出会って書を志し、長きにわたり千葉大学で後進の育成に尽力しました。古典に根底を置いた穏健高雅な書風を生涯崩すことなく守り続けた南総の書を理解することが出来るコレクションです。

     

    高澤南総筆(1911-1992)和漢朗詠集巻上(部分)、紙本墨書、一巻、44.4×1960.9、昭和9年千葉県教育会主催教職員展知事賞、高澤雅枝氏寄贈

     

    高澤南総筆(1911-1992)無縁慈、紙本墨書、一面、230.0×81.8、昭和63年毎日書道展、高澤雅枝氏寄贈
  • 赤羽雲庭(1912-1975)コレクション

    「骨肉を晋代に得、気韻は宋代を慕い、条幅などの表現形式は明、清の代を師としたもので自己を表現したいと思います。」とは雲庭38歳の言葉です。六曲半双の屏風「飲中八仙歌」はこの年の日展出品作です。「凛厳」は、昭和36年日展文部大臣賞を受賞、雲庭の代表作です。以降、滋味溢れる墨蹟調の作品を多く手掛けるようになります。

    当館の赤羽雲庭のコレクションは32件。63歳で生涯の幕を閉じた雲庭の、40代から最晩年にかけて爛熟期を見渡せる内容です。

     

    赤羽雲庭筆(1912-1975)飲中八仙歌、紙本墨書、六曲半双、144.8×368.5、 昭和25年日展、赤羽ルリ子氏寄贈

     

    赤羽雲庭筆(1912-1975)凜厳、紙本墨書、一面、205.0 ×79.2、昭和36年日展文部大臣賞、鈴木久氏寄贈

     

    赤羽雲庭筆(1912-1975)五言二句、プラチナ箔墨書、一面、146.5×61.2、昭和41年日展、赤羽ルリ子氏寄贈

     

    赤羽雲庭筆(1912-1975)元張昱詩、綸子墨書、一面、153.8×63.5、昭和43年、植木靖子氏寄贈

     

    赤羽雲庭筆(1912-1975)畫地而趨、紙本墨書、一面、152.0×43.5、昭和49年日展、立見閑氏寄贈

     

     

     

     

  • 青山杉雨(1912-1993)コレクション

    戦後に書壇を牽引した青山杉雨は、日本近現代の書に光をあてるべく開館した当館の設立に、最も尽力した書家です。コレクション36件の大半はご遺族の青山トク氏・青山慶示氏からご寄贈いただいたものです。杉雨晩年の書業を見渡せるコレクションです。

    「一作一面貌」と称されるように、新鮮な作品を生み出し続けた杉雨ですが、最期まで書への意欲は衰えませんでした。弱った体を後ろから抱きかかえられながら筆を執った「書鬼」はそのことを物語る象徴的な作品です。

    現代作家のコレクションの皮きりともいえる杉雨コレクションは、この時代に連なる日本の書の歴史を、そして当館の理念を考える上でも、大きな核となっています。

     

    青山杉雨筆(1912-1993)捜秦漢聚晋唐、紙本墨書、二幅、各186.1×52.6、昭和39年謙慎書道会展、青山トク氏・青山慶示氏寄贈

     

    青山杉雨筆(1912-1993)眼中之人、紙本墨書、一面、105.0×106.7、昭和59年、青山トク氏・青山慶示氏寄贈

     

     

    青山杉雨筆(1912-1993)蘭亭序句、紙本墨書、四幅、各137.5×68.3、平成3年、青山トク氏・青山慶示氏寄贈

     

    青山杉雨筆(1912-1993)九陽光、紙本墨書、一面、106.2×121.4、平成3年、青山トク氏・青山慶示氏寄贈

     

    青山杉雨筆(1912-1993)書鬼、紙本墨書、一面、69.0×137.0、平成4年読売書法展、青山トク氏・青山慶示氏寄贈
  • 徳野大空(1914-1974)コレクション

    ご遺族、また清水松雲氏からのご寄贈を受け、24件の作品、自用印20件を収蔵しています。

    群馬県に生まれた大空は、半田神来に師事し、書学院の講習会に参加したことをきっかけに書を志しました。上京して比田井天来に師事し、天来没後は手島右卿について頭角を現しました。昭和24年の日展では書部門初の特選受賞者の一人となるなど、戦後書壇を代表する作家の一人としてその名が知られています。当館の収蔵品は、日展での特選受賞作をはじめ、次第に造型性を強めていった話題作が中心であり、大空の書業はもちろん、戦後の書を回顧する上でも貴重なコレクションとなっています。

     

    徳野大空筆(1914-1974)白楽天詩「和松樹」、紙本墨書、六曲半双、各137.8×44.3、昭和24年日展特選、徳野恵美子氏寄贈

     

    徳野大空筆(1914-1974)草原、紙本墨書、二曲半双、69.5×138.0、昭和38年独立書展、徳野恵美子氏寄贈

     

    徳野大空筆(1914-1974)化外、紙本墨書、一面、51.5×138、昭和48年日展、徳野恵美子氏寄贈

     

  • 成瀬映山(1920-2007)コレクション

    歌舞伎などの江戸文化に触れて育ち、青山杉雨ゆずりの古典主義が合流して、独特の軽やかな表現が生まれました。29件のコレクションの多くは80歳以降の作品で、日展内閣総理大臣賞受賞作をはじめとする、映山の書業を象徴する作品群です。また、成田山のご縁も深く、「御護摩受付所」の扁額を揮毫していただきました。

     

    成瀬映山筆(1920-2007)楚辞漁夫一節、紙本墨書、一面、120.0×69.5、平成14年日展、成瀬孝子氏寄贈

     

    成瀬映山筆(1920-2007)杜甫詩、紙本墨書、一面、昭和62年日展内閣総理大臣賞、成瀬映山氏寄贈

     

    成瀬映山筆(1920-2007)世阿弥謡曲隅田川の一節、紙本墨書、一面、70.0×181.0、平成18年読売書法展

     

    成瀬映山筆(1920-2007)大道無門、紙本墨書、一面、各135.0×68.8、平成19年制作、平成20年謙慎書道会展遺作出品、成瀬孝子氏寄贈