1、青山杉雨と成瀬映山
1-3、成瀬映山(1920-2007)
青山杉雨とは勤務先の東横百貨店(現:東急百貨店)で出会い、その後師事しました。
それから書の道に専念することになったのです。
当館ではご遺族から代表作を一括して寄贈していただき、29件のコレクションがまとまっています。
2015年には受贈記念の展覧会を行いました。
これは杜甫の詩を書いた昭和57年日展会員賞受賞作。杜甫の誠実さが好きでよく題材にしたと言います。
青山杉雨には「君の草書は楷書だ、線を極めつき過ぎる」と指導を受け、行草の線情をつかみたいと試行錯誤しながら書いたそうです(『書品』270号より)。
「大道無門」は平成19年に制作され、平成20年第70回謙慎書道会展に遺作出品された最晩年の作です。
淡墨を効果的に用い、細身で骨力のある線、明るく快な表現が魅力です。
著書『書作のみちくさ』では、学書の条件として最も大切にしていることが「気韻生動」だと述べています。
書いた人の「気」がみる人に伝わること。そして数多く習うことが肝心だと。
書の歴史、古典や名品の解説、書体や詩文、用具用材などの技法論、対談などがまとめられ、成瀬先生の書に対する考えや姿勢がよくわかる一冊です。
成田山新勝寺では「御護摩受付所」「納札所」の扁額を揮毫していただきました。
刻者は河野隆先生です。
(ノミ入れをする成瀬先生)
(彫り進める河野先生)
成田山にお越しの際はぜひご覧くださいね。(田村彩華)
【掲載作品】どちらも成田山書道美術館蔵
※1「杜甫詩」 成瀬映山 昭和57年第14回日展会員賞 紙本墨書 軸 232.0×62.0㎝
※2「大道無門」 成瀬映山 昭和20年第70回謙慎書道会展遺作出品(平成19年制作) 紙本墨書 額 135.0×68.8㎝×2