4、市河米庵と江戸の唐様

-2  韓天寿

 

 

※1

服食而在人間 此速弊分明 且転衰老政可知

乃欲与彦仁集界上 甚佳諸如此事 皆所欣也

王右軍帖 韓天寿敬臨

 

舶載法帖の和刻本として知られる「岡寺版集帖」を手掛け、江戸の唐様の普及に一役を担った韓天寿は二王を敬愛し、晋唐の瀟洒で穏やかな書風を得意としました。青木家に生まれ、中川家を継いだ出自ながら、馬韓の余璋王の末裔と称して韓氏を名乗り、酔晋斎と号しました。書画篆刻に優れ、私財を投じた法帖の蒐集は一代で家産を傾ける程だったといいます。池大雅、高芙蓉と親しく交流し、白山、立山、富士山などの名山に登り、ともに三岳道者と称して書画を遺しています。

 

 

※2

 

 

 

 

 

 

 

※3

王羲之の服食帖を臨書したこの作も、二王に加え、虞世南あたりの穏やかな書法の影響が窺えますが、落款に「敬臨」と加えるあたり、王羲之への敬慕の様が感じられます。(山﨑亮)

【掲載作品】

※1臨王羲之「服食帖」 韓天寿 紙本墨書 軸 103.4×26.3 成田山書道美術館蔵

※2岡寺版集帖 成田山書道美術館蔵

※3二王帖 成田山書道美術館蔵